1. 三年番茶ってどんなお茶?
川上さんの三年番茶『薪火寒茶』(鹿児島地域では『食養番茶』)
大口食養村で作っている『薪火寒茶』は、“本来の三年番茶の作り方”を守っているお茶です。普通の番茶と違い、お茶の枝ごと寒い冬に刈り取ります。冬のお茶は苦み、渋みが少なく、甘い風味があります。自然栽培、薪火製法による身体にやさしいこの陽性のお茶は、日常茶として、また、具合がわるいときの手当て用として塩番茶、醤油番茶、梅醤番茶などに欠かせません。
■三年番茶本来の製造方法
三年番茶はマクロビオティックの基本のお茶です。身体を温める陽性のお茶として愛飲されています。その製法はさまざまですが、大口食養村では下記のように「三年番茶本来の製造方法」を守って作っています。
① 農薬や化学肥料等を使用せず、バランスの良い生きた土で2年以上生育したお茶の葉と茎を枝ごと冬季に収穫。
② 選別後に薪火で釜炒りする。
③ 半年以上ねかせてから、再度丁寧に薪火で焙じる。
こうした製法の過程で、従来緑茶に含まれているカフェインやタンニンという成分が非常に少なくなるため、妊娠中の方や小さなお子様でも安心してお召し上がりいただけます。
大口食養村のこころ
昭和55年、川上寛継・祐喜子夫婦で鹿児島県の大口(現伊佐市)に移り住み、熊谷綱次郎さんの後を継ぐかたちで始まった番茶作り。いろいろな方の応援を得ながら、薪火寒茶(前 川上さんの三年番茶/赤袋・鹿児島地域では「食養番茶」)の製造に40年携わってまいりました。おかげさまで全国の方々に親しまれ、ご愛飲いただいております。
これまでずっとお茶の木を「無農薬・無化学肥料で動物堆肥を使わない、環境にやさしい自然農法」で育て、三年番茶を製造してまいりました。このたび、一般社団法人 MOA自然農法文化事業団の認証をいただき、「MOA自然農法ガイドラインにもとづき」と表示させていただくことになりました。
一般的な日本茶(煎茶)は、お茶の木の新芽を使いますが、三年番茶は新芽を使いません。三年番茶は、番茶を3年間以上熟成させた茎や葉、または3年以上生育したお茶の木の茎や葉を使ったお茶です。
煎茶と比べ、刺激成分のカフェインやタンニンが少なく、赤ちゃんからご年配の方にも安心してお飲みいただける”からだに優しい”お茶とされています。
唐時代(中国)に日本に来た僧侶が伝授したものが、基本となっていると言われています。
このお茶は、野生の茶木を寒中に伐採し、小枝や小木はこまかく割って茶葉とともに焙じ、茶壷に入れて口を和紙で何重にも塞ぎ、3年寝かしたものでした。
これをマクロビオティックに取り入れて、茎6~7に対して葉4~3の割合のものを「食養茶(または食養番茶)」という名前で販売していたのが始まりだったのです。現在の三年番茶は、このお茶の作り方を基本に多少異なる製法で作られています。
2. 三年番茶の作り方
三年番茶は、3年以上熟成させているイメージがありますが、現在は3年未満の熟成期間のものでも、「三年番茶」を名乗る事ができます。世の中にはたくさんの「三年番茶」が流通しているのです。三年番茶として販売しているお茶が、必ず刈り取った茎や葉を3年以上熟成させているわけではありません。
2種類の製法
三年番茶には2種類の作り方があります。
3年間熟成させる方法
新芽ではなく、秋に収穫した番茶(大きく成長して熟したお茶の葉と茎)を刈り取り、蒸し乾燥させた後、荒茶の状態で3年間常温熟成し、焙煎して作る方法。
3年間”お茶の木”を栽培する方法
3年間刈り取らずに伸ばした茎と葉を刈り取り、蒸し、乾燥、荒茶の状態で、ある程度熟成し焙煎して作る方法。
この方法でつくられた三年番茶は、土地の養分を多量に含んでいるという特徴があります。
また、よりすっきりと甘い味わいの三年番茶を飲むことができます。
※これら2つの方法でつくる三年番茶は、長期に熟成・栽培をするので、健康面に様々なメリットがあると言われています。
※製法の違いなどがパッケージに記入されていることは少ないので、気になる方は購入する際に確かめてみるようにしましょう。
3. 三年番茶の特徴~おすすめしたい理由
からだに優しい
一般の番茶には、カフェインやタンニンなどの刺激物が含まれていますが、三年番茶はこれらの成分が熟成・栽培されている間に少なくなるため、からだに優しいお茶です。
口当たりの良いお茶ですので、お子様からご年配の方まで、ご家族皆様でいつでもお飲みいただけます。
寝る前などのリラックスタイムにもおすすめです。
香ばしくまろやかで、ほのかな甘さ
茶葉と茎をじっくり乾燥、熟成させ焙煎しているので、独特の芳香があります。
緑茶のような苦味や渋味がなく、飲んだ瞬間、香ばしい風味がお口いっぱいに広がります。
また、一般の番茶よりもじっくり焙煎しているので、まろやかな甘みがあるのも特徴です。
毎日いつでも常飲できる
マクロビオティックでは、三年番茶はやや陽性に近い、バランスのとれた中庸のお茶とされ、「からだを温めてくれる」「消化吸収や新陳代謝に良い」などの作用があるため、毎日常飲できる理想的なお茶として、すすめられています。
また、殺菌性もあり、塩を加えて「うがい薬」の代用、鼻や眼の洗浄にも使用することもおすすめとされています。
「からだを温める」と言われている
根に近い下部の方の茶葉や茎を使用しているため、根菜類と同様に三年番茶は陽性の性質を持っています。そのため、飲用することで、からだの内面から温める作用があると言われています。
「胃腸に良い」と言われている
「自然療法」では、三年番茶について、下痢・胃腸障害・吐き下しに良いとされ、「吐き下しの回数が多ければ、飲む回数も増やすように」とすすめられています。
※自然療法:身体本来持っている自然治癒力を活かして、健康維持や病気を治そうとする療法。
薬草、鍼灸や整体、カイロプラクティックも自然療法とされている。
国産有機農法の茶葉・茎を原料にしたお茶が多い
一般的に、茶畑で栽培され摘み取られた茶葉は、摘み取った瞬間から酸化酵素が働きだし、発酵が始まります。
そのため、朝一で摘まれた新鮮な茶葉は、すぐに工場に運ばれ処理を行います。
運ばれた茶葉は、洗浄工程が無く、すぐに蒸し工程を行い熱処理します。
この「蒸す」作業でお茶の風味がグッと閉じ込められるのですが、洗浄工程が省かれているため『有機栽培』がお茶を選ぶときのポイントです。
三年番茶は、自然療法やマクロビオティックなどで推奨しているお茶のため、国産&有機栽培のお茶が多く、乳幼児・妊婦の方からご年配の方まで、安心して飲めるお茶です。
4. 番茶とほうじ茶との違い
三年番茶は、似たようなお茶「番茶」「ほうじ茶」と、どう違うのでしょう。
まず、「緑茶(不発酵茶)」の種類につき、下図に示しました。
番茶とは
製法は煎茶とほぼ一緒ですが、原料として夏以降に収穫した茶葉(三番茶・四番茶)、次期の栽培に向けて枝を整形したときの茶葉(秋冬番茶)、煎茶の製造工程ではじかれた大きな葉(川柳)などを用いています。
煎茶のように若葉ではなく、成長した葉を原料とするため、タンニンが多めですがカフェインは少なめです。味は淡泊でさっぱりとした飲み口ですが、渋みを含んでいます。地方によっては、原料の収穫時期や製法を変えている所もあります。香ばしい風味を出すために茶葉を乾煎りし、ほうじ茶として飲まれることも多いです。
三年番茶との違い(三年番茶)
3年間熟成させた茎及び葉、または刈り取らず3年間生育した茎及び葉を使用していること。焙煎しており、カフェインやタンニンが少なめ。
ほうじ茶とは
煎茶、番茶などをキツネ色になるまで強火で煎って(焙じて)、香ばしさを引き出したお茶です。この他に、煎茶や番茶の仕上げ加工工程で選別した、形の大きい葉や茎を混ぜ合わせ、で煎った(焙じた)ものも含まれます。で煎る(焙じる)ことによってカフェインやタンニンが飛ぶので、香ばしさとすっきりとした軽い味わいが楽しめます。
三年番茶との違い(三年番茶)
3年間熟成させた茎及び葉、または刈り取らず3年間生育した茎及び葉を使用していること。
違いをまとめると
「三年番茶」「番茶」「ほうじ茶」の大きな違いは、お茶の刈り取り方と製造方法。お茶の木の茶葉を使う、という事以外に違いはないです。ちなみに三年番茶は、食品表示法に基づく表示では、名称が「ほうじ茶」になっていますが製造工程の最終で焙煎してるためです。
5. 三年番茶のおいしい淹れ方と応用
急須で入れる場合
一人分 茶葉 約4~5g程度(ティースプーンなら山盛り2杯、茶さじなら1杯)の茶葉を入れる。(飲む人が複数いる場合は必要に応じて足す)
沸騰したお湯を急須に注ぎ、2?3分蒸らす。
湯のみに入れる(お茶が出なくなるまで絞りきる,複数の場合均等に注ぐ)。
※蒸らす時間を変えて、お好みの濃さをお楽しみください。
やかんで煮出す場合
やかんに水を入れ沸騰させる。水1?に対し、茶葉は10?15g程度入れる。
茶葉を入れたら火加減を弱火にし、コトコト煮出す(グラグラ煮立たせないこと)。すっきりとした薄い風味がお好みの方は、2分~3分したら茶葉を取り出す。番茶の香ばしい風味が好きな方は、もう少し長めに火にかける。
茶葉を茶こしでこしながら湯のみに入れる。残ったお茶はポットなどに入れてください。
水出しの場合
1?の水に対し、茶葉は10?15g (大さじ2杯)程度入れて一晩置く。
水出し用のポットがあるととても便利。※一晩放置は衛生上のため冷蔵庫で。
暑い日には、三年番茶の水出しもおすすめです。
ティーバックの場合
商品に記載されている淹れ方でお楽しみください。
淹れる時のおすすめポイント
共通ポイント
水:浄水器を通した水、軟水のミネラルウォーター(硬水は避ける)を使うと、より風味が引き立ちます。
※硬度60mg/L未満が軟水(硬度はパッケージに表記されています)
やかんで煮出す場合のポイント
金属製でも問題ありませんが、土瓶などの磁器製のものを使うと三年番茶の風味をより楽しめます。
<応用>
三年番茶を使ったアレンジお茶のご紹介。
各お茶のおすすめは、マクロビオティックや自然療法で紹介されている内容です。
梅醤番茶 代表的なアレンジ茶!
梅干し+醤油+生姜+三年番茶
梅干し中粒1個を湯呑の中でつぶし、醤油小さじ1.5と生姜おろし汁を2~3滴入れ、そこに熱い三年番茶を注ぎ混ぜてできあがり。
おすすめ:疲労回復、食欲不振、胃痛、腹痛など
梅干番茶
梅干し+三年番茶
梅干し中粒1個に熱い三年番茶を淹れて、種だけ残して飲みます。
おすすめ:老廃物や疲労回復
梅生番茶
梅+生姜+三年番茶
梅干し中粒1個にすりおろし生姜を少量混ぜ、熱い三年番茶を注ぎます。
おすすめ:お腹の調子改善
醤油番茶
醤油+三年番茶
湯呑に醤油を1、2滴たらし、熱い三年番茶を注ぎます。
おすすめ:新陳代謝アップ
塩番茶
自然塩+三年番茶
三年番茶に1%の塩を加えて煮立たせます。
おすすめ:のどが痛むときは、塩番茶でうがい。
また、冷ました塩番茶は、目の洗浄にも良いと言われています。
食養番茶のホームページ➡https://okuchisyokuyoumura.com/
昭和55年、川上寛継・祐喜子夫婦で鹿児島県の大口(現伊佐市)に移り住み、熊谷綱次郎さんの後を継ぐかたちで始まった番茶作り。いろいろな方の応援を得ながら、薪火寒茶(前 川上さんの三年番茶/赤袋・鹿児島地域では「食養番茶」)の製造に40年携わっている元祖三年番茶。